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EASA Form1のお話

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予備品証明制度廃止に伴って基準適合証明またはみなし基適があれば装備品として使って良いという事になりました。

これはその裏で起きていたちょっとした混乱と、少しだけ仕事した大学生のお話。

JA SearchによるとSF25・SF28合わせて48機のファルケが登録され、現在でも40機は抹消されずに残っている。ファルケのエンジンにはロータックスとリンバッハが有り、ロータックスは今やLSAやエクスペリメンタル機の界隈では最大手のエンジンメーカーとなっており、部品供給も潤沢にある。ディモナなどもロータックスで、技術的な系譜を辿るとスノーモービル用のエンジンに起源をもつらしい。

問題はリンバッハの方である。

リンバッハの方は辿っていくとフォルクスワーゲンの空冷四気筒エンジンに起源をもつ。四気筒エンジンを半分に切って対向に気筒エンジンとした1/2フォルクスワーゲンと合わせて、空冷フォルクスワーゲンエンジンは一昔前(といっても私が生まれる前だが)のエクスペリメンタル機では広く使われているエンジンだった。

リンバッハはこの定石と言えるエンジンを改良し、形式証明を取得した。これがL1700、L2000とL2400エンジンである。大利根のブログによるとスポルタビアと共同で開発したとの事。

リンバッハは合計で6000台以上のエンジンを生産したが、経営状況は悪化し、2011年に閉鎖を宣言した。

この宣言はすぐに撤回され、新しい経営者が付いて操業は現在も続いているものの、Part 145を返上し、Part CAO組織となる事を発表した。Part 145は大型機の部品なども製造できる認定だが、CAOは小型機向けの部品のみに限られる認定だと思ってくれ。

しかも雲行きの怪しいことに、2年程あった筈の移行期間に手続きをしなかったらしく、Limbachは事実上認定を取り消されてしまう。これからPart CAOに移行できるかは分からない。

一応修理やOH、部品供給はサードパーティのザウアー社があるものの、この会社もPart CAOである。

ということで、現在入手できるリンバッハエンジンは須らくPart CAOの会社が修理整備したものである。

困ったことに、JCAB(航空局)はPart 145しか認めないと言うのである。サーキュラーの根拠になるBASAがPart 145ベースだから、という話だが、無いものは出せない。今後は相互承認なので製造国の承認を取ってくださいね、予備品証明は出しませんよとなった為に、今までの様に日本で予備品証明を受けて付けることもできなくなった訳だ。

既にザウアーから買ったエンジンが2台ほどあるらしいが、今のところただの金属塊である。一台何百万円するのか知らないが困っているらしい。

更に、サステナーやセルフランチのプロペラの会社のテクノフルークもPart CAOらしく、こちらもつけられない状態だそう。こちらは新品が手に入るのでそれを付ければ飛べないことも無いが、毎回新品を買うのは厳しいだろう。

まぁそんな訳で、日本滑空協会が国交省と交渉することになったらしい。この段階では僕は全く蚊帳の外で、大利根近況の記事を見て動滑は大変ねぇと他人事だった。

ひょんなことから

合縁奇縁、は違うなちょっと。二運整を取った際に、お世話になってる教官の方から、上の件の資料作りを手伝ってみない?というお誘いがあり、是非にと返事をした。

動機と言うのは言葉にするのが難しいもので、面白そうだったからとかなんとなくやってみたかったからと言うのが大半なのだが、一分位は世話になってたからとかコミュニティに対する貢献とかそういうのも無くはなかった。

実のところ交渉と言うのは8割片済んでいて、あとはPart CAOの有効性を示すために元の法律から情報抜き出して見やすい形にして出して、あとは局の領分という状態だった。僕は英文資料に目を通して必要そうな情報を見つけてくことになった。

この段階ではよく分かっていなかったが、要は局のニーズとしては「Part145と同等だったら認めるし、等価でない所は妥当かどうか検討するからそのへんどんな感じって認識してるん?」という感じだったっぽい気はしている。

滑空界側としては本場(というかEU)はこのルールで飛ばしてるしそれを理解してくれよ今までもそうだったじゃんという感じなんだけど、局としてはあくまで自分たちの条文に適うかを気にしていた。まぁそれはそう。

という訳で、最初のうちは「ヨーロッパにおける小型機の部品周りの認定システム」を概観できる資料を作った。

最初のミーティングで、1321/2014にPart CAO周りの事が書いてあると教えてもらったのでそこを掘りに行く。どうもEUの法律ってやつは大元の法律に改正が加わるとき、その改正案が法律として承認されるらしい。改正案が適用された法文が承認されるわけではない。

つまり、現行法が法律として一つにまとまってない。正式な文書だけで読み解こうとすると大元の法文を読んでから、全ての改正案を読んで変更点を全部大元の法律に書き足していく必要があるのだ。

まぁ公式が出してる非正式なやつはあったからそれを読んだ。e-Gov法令検索のEU版みたいなのがあって、そこにあったのだ。EUR-Lex

そこでどうもPart 145とPart M Subpart FとSubpart GとPart CAOとPart CAMOが関係してきそうということが分かった。

一旦それぞれのワードでググってみる。

法律そのものと睨めっこしても良いが、大体こういうのは分かりやすく誰かが記事にしている。信頼性は一段か二段劣るが、検索性と効率はいいので当たりをつけるには十分。

すると運が良いことにEASAの、Part MからPart CAO/CAMOに移行する事業者向けのパワポが出てきた。その辺りで理解を含めて、一覧表と比較表を作ること数日。

無事?その資料は提出され、今は局の方で検査官の人たちが頑張ってくれてる、筈。

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